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電流を流すと半導体が磁石になる ~単体半導体テルルにおけるバルク電流誘起磁性の発見~

 東京理科大学理学部第一部 古川哲也 助教、下川裕理学部 学生(当時)、伊藤哲明 准教授、岡山大学異分野基礎科学研究所 小林夏野 准教授らの研究グループは、単体元素テルル半導体に直流電流を流すと、非磁性体であるテルルに磁性を持たせることに成功しました。

 本研究成果は英国科学誌 Nature Communications 誌に10月16日付けで掲載されます。

図1 右手型半導体テルルの結晶構造
右巻きらせん構造が周期的に並んだ結晶構造をしている。
図2 電流印加による磁化発生の概念図
通常の物質ではスピンの向きと電子の運動の向きの関係はバラバラであり、電流によって電子の運動の向きを偏らせても磁化は発生しない。テルルでは、強いスピン軌道相互作用とキラルな結晶構造のため、電子の運動方向によってスピンの向きが決まっており、直流電流によってスピンの向きが揃うことで磁化が生じると考えられる。
図3 核磁気共鳴によって観測されたテルルにおける電流誘起磁化
テルル原子核が電流誘起磁化によって生じる内部磁場を感じるため、電流を流すことでスペクトルがシフトする。横軸は電流を流していないときのスペクトルの重心を基準としている。
<発表論文情報>
タイトル: "Observation of current-induced bulk magnetization in elemental tellurium"
著  者: Tetsuya Furukawa, Yuri Shimokawa, Kaya Kobayashi, Tetsuaki Itou
掲 載 誌: Nature Communications
DOI番号:10.1038/s41467-017-01093-3


<本件に関するお問い合わせ>
岡山大学異分野基礎科学研究所
准教授 小林 夏野
(電話番号)086-251-8631
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