岡山大学異分野基礎科学研究所の望月建爾助教、パデュー大学(アメリカ)のベン・アモツ(D. Ben-Amotz)教授らは、液体の分子を対象にしたラマン分光実験と分子シミュレーションとを用いて、メタノール水溶液中の高分子で観察される共貧溶媒効果が、小さい溶質分子(tert-ブチルアルコール)でも起こることを世界で初めて発見しました。さらにその原因は、メタノールが好んで吸着する溶質の構造が、メタノール濃度に依存して変化する点にあることを明らかにしました。本研究成果は7月1日、米国の科学雑誌「Journal of the American Chemical Society(JACS)」電子版に掲載されました。
共貧溶媒効果とは、溶かそうとする物資である高分子が、水とエタノール、それぞれの溶媒に対しては溶ける一方で、水とメタノールを混ぜた混合溶媒には溶けないという不思議な現象です。「混ぜると、溶けなくなる」という一見複雑に見える現象が、高分子に比べ極端に小さな分子でも観測されることを本研究の中で見つけ、その詳細なメカニズムの解明に成功しました。
高分子の膨張及び収縮の制御は、体内での薬物輸送、ナノスケールでの流れの制御など、医学から材料化学までさまざまな分野に応用・発展できます。今回の研究による共貧溶媒効果の基礎的な理解が進んだことで、そのような分野に大いに貢献することが期待されます。
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