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分子の形で有機物半導体の高性能化に成功

 異分野基礎科学研究所の江口律子助教、久保園芳博教授、及び学術研究院自然科学学域(理)の岡本秀毅准教授等の研究グループは、分子中にベンゼン環がジグザグにつながる「フェナセン」と直線的につながる「アセン」の構造を融合させたハイブリッド型分子であるジベンゾ[n]フェナセン(n = 5–7)を、光化学反応を利用して簡単に合成しました。これらの物質の単結晶を使った有機電界効果トランジスタで高い電界効果移動度を達成し、また、分子の形(対称性)によってその性能を高められる可能性を示しました。
 本研究成果は、2021年5月14日にイギリス王立化学会の速報誌「Chemical Communications」のcommunicationとして掲載され、同誌の表紙にも紹介されました。  現在、様々な小型電子デバイス、フレキシブルディスプレイ、ICタグなどを作成するために高性能な有機物半導体が渇望されています。今回の研究は、未来の有機トランジスタ材料を高性能化するための指針として分子の形(対称性)が一つの鍵であることを示した点で、今後の有機物半導体の高性能化を化合物の設計の観点から支援する成果を生み出したものと考えています。

◆発表のポイント

  • 光化学反応を使って、フェナセンとアセンのハイブリッド構造を持つ多環状芳香族化合物を簡単に合成しました。
  • 合成したハイブリッド分子の単結晶を使って高い性能を持つ有機電界効果型トランジスタを作製することに成功しました。
  • ハイブリッド分子の形(対称性)が有機電界効果型トランジスタの性能に影響することを発見しました。
図 1. (a)紫外線を照射してジベンゾ[n]フェナセン分子を合成する様子
(b)今回の論文が掲載され、表紙で紹介されたChemical Communications
■論文情報
論 文 名:Photochemical synthesis and device application of acene-phenacene hybrid molecules, dibenzo[n]phenacenes (n = 5-7)
掲 載 紙:Chemical Communications
著  者:Yanting Zhang, Ritsuko Eguchi, Shino Hamao, Kenta Goto, Fumito Tani, Minoru Yamaji, Yoshihiro Kubozono and Hideki Okamoto
D O I:10.1039/d1cc01294k
U R L:Photochemical synthesis and device application of acene–phenacene hybrid molecules, dibenzo[n]phenacenes (n = 5–7)

<お問い合わせ>
岡山大学 異分野基礎科学研究所
助教 江口 律子(えぐち りつこ)
(電話番号)086-251-7797
(FAX)086-251-7797

岡山大学 学術研究院自然科学学域(理)
准教授 岡本 秀毅(おかもと ひでき)
(電話番号)086-251-7840
(FAX)086-251-7853

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