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60年間支持されてきたタンパク質構造安定性理論の検証への挑戦 ~タンパク質折り畳みの駆動力がタンパク質内直接相互作用に起因することを示唆~

岡山大学異分野基礎科学研究所の墨智成准教授および甲賀研一郎教授は、タンパク質構造安定性のメカニズムを解析する新たな理論的計算手法を開発し、人工タンパク質Chignolinに適用しました。それにより、60年間幅広く信じられてきたタンパク質構造安定性の理論「疎水性相互作用仮説」とは異なる結論が、Chignolinに対して導かれました。折り畳みの駆動力は、周りに存在する水を介した「溶媒誘起力」というよりむしろ、「タンパク質内直接相互作用」に起因するという、極めてシンプルな結論です。本研究成果は、3月26日英国時間午前10時(日本時間午後7時)、英国の科学雑誌「Scientific Reports」掲載されました。

疎水性相互作用仮説では、水と油が分離する現象になぞらえ、水が油を嫌うことに起因する「溶媒誘起力」に基づいて、タンパク質の天然構造安定性を説明しています。しかしながら、溶媒誘起力はむしろ、油(疎水性アミノ酸残基)を水中で分散する方向へ働いており、折り畳みの駆動力は、全てのアミノ酸残基間に存在するロンドン分散力1)を含む、タンパク質内直接相互作用であったのです。本研究成果は、これまで信じられてきた定説を見直す必要性を示唆しており、今後、バイオ医薬品の開発や人工タンパク質の分子設計の指針となる、重要な知見であるといえます。

論文情報

論 文 名: Theoretical analysis on thermodynamic stability of chignolin

掲 載 紙:Scientific Reports

著  者: Tomonari Sumi, Kenichiro Koga

DOI:10.1038/s41598-019-41518-1

岡山大学プレスリリース

理論物理化学研究室

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