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ガスハイドレートが安定となる条件が理論的に明らかに

岡山大学異分野基礎科学研究所(大学院自然科学研究科)の田中秀樹教授、矢ケ崎琢磨講師、松本正和准教授らの研究グループは、さまざまなガスハイドレートが安定となる条件を精密に求める理論を開発し、その相図を初めて明らかにしました。本論文は米国物理学協会(AIP)のFeatured Articleに選ばれました。

メタンハイドレートに代表される包接水和物は、ガス分子と水がいっしょに結晶化した固溶体です。通常、2種類以上の成分からなる結晶では、成分比は単純な整数比になります。一方、ハイドレートは不定比化合物と呼ばれ、温度や圧力や周囲の環境に応じて、組成比が変化します。このため、正確に組成比を特定し、その安定性を評価するのは実験でもシミュレーションでも困難です。

本研究は、統計力学理論に基き、任意の温度圧力において組成比がとりうる値の範囲を、シミュレーションを行わないで正確に推定する方法を述べました。火星、あるいは外惑星の衛星のように、水とガスが存在するものの、圧力も温度も低い環境で、どのような条件でハイドレートが形成されるかを知ることが可能となりました。

図1. 本研究で初めて明らかとなった、メタンハイドレート(青)とエタンハイドレート(赤)の相図。横軸は水とガスの組成比、奥行は圧力、高さは温度で、色付けされた条件でのみハイドレートは安定に存在する。

図2. ハイドレート(左)と水(右)が共存する様子。水分子の位置のみを描いている。白い線は水素結合。

論文

Tanaka, H., Yagasaki, T. & Matsumoto, M. On the phase behaviors of hydrocarbon and noble gas clathrate hydrates: Dissociation pressures, phase diagram, occupancies, and equilibrium with aqueous solution. J. Chem. Phys. 149, 074502 (2018).

DOI: 10.1063/1.5044568

AIP Featured Articleのリストへのリンク

https://aip.scitation.org/topic/collections/featured?SeriesKey=jcp

ハイライト記事(AIP Press Release "Scilight)

"Revisions to standard theory provide clues to understanding phase behavior of clathrate hydrates" by Adam Liebendorfer

DOI: 10.1063/1.5051832

 

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